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コラム - Monthly Column

Column会計学習の勘所

第1回

会計知識はなぜ重要か

有限会社 ボナ・ヴィータ コーポレーション
 代表取締役社長
國貞 克則

2008.02.25 Update

私はサラリーマン時代、海外の会社と仕事をしてきました。海外のビジネスパーソン達と仕事をしていて、海外のビジネスエリートといわれる人達と日本のビジネスエリートといわれる人達の違いが気になりました。

日本のビジネスパーソンは海外に出ても優秀です。日本人は意見を言わないなどといわれますが、全くそんなことはありません。日本の優秀層は自分の考えをしっかり持っているし、英語さえできればよくしゃべります。平均的な頭脳レベルも人間力も海外の人達に勝ることはあっても劣ることはありません。ただ、一つだけ気になったのは財務会計のレベルです。

日本のビジネスパーソンは新卒一斉採用で一歩一歩昇進していきます。そして部長クラスまでは損益計算書(PL)にしか責任を持ちません。つまり、売上と費用と利益だけを見てビジネスをするわけです。

ところが、欧米のビジネスエリート達は若い時から経営者として育てられます。20歳台後半に子会社の社長につく人もいます。彼らは若いうちから経営者として、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)に責任を持ち、それら財務3表を見ながら育っていくのです。

いまここに、利益1億円を出している会社があるとします。この会社はスゴイ会社でしょうかスゴクない会社でしょうか。私は基本的に一人で仕事をしていますが、もし私が一人で年間1億円の利益を上げればスゴイことでしょうが、10兆円の資産がある会社が1億円の利益しか上げてないとしたらそれは情けないことです。ビジネスのキーワードは「売上」と「利益」だと思っている人がいるかもしれませんが、ビジネスキーワードは「投資」と「リターン」です。

もう一つ質問をしてみましょう。多くの会社は借金をしていますが、その借入金の元金の返済額はPLのどこに表れるでしょうか?私は大勢のビジネスパーソンに会計研修をしてきましたが、この質問に答えられる人は日本のビジネスパーソンの中で5%もいません。大企業のエリートであってもほとんどの人が答えられないのです。

借入金の元金の返済額はPLのどこにも表れません。実はこの質問は会計の基本が分かっている人には簡単すぎるほど簡単な質問です。日本のビジネスパーソンの会計レベルはこの程度なのです。 経営者になるとPLよりBSやCSの方を頻繁に見ます。会社が倒産するのは赤字になるからではありません。支払うべき現金、つまりキャッシュが足りなくなるからです。

私は7年前に独立してからずっと中小企業の社長のサポートをしてきました。中小企業の社長さん達の多くもまた会計の知識がありません。会計の知識がない人は比較的簡単に借入れをします。いくら借入れをしてもPLに表れるのは借入金の支払利息だけだからです。

また一方で、中小企業は利益を減らして税金の支払額をできるだけ少なくしたいと思っています。このような会社はたくさんの借入れをしてビルなどの不動産を買えば、借入金の利子と不動産に関する費用をPLに計上できますから利益を減らすことができます。こんなことを金融機関に言われて、たくさんの借金をしてしまった会社が多いのです。

借入れをして不動産を買えば税金を減らせるのは事実なのですが、何十億円、何百億円という借金は厳然として残り、それを利子を含めて返済していかなければならないのです。事業はいい時ばかりではありません。少し景気が悪くなり利益が出なくなったとしても、莫大な借金の返済義務だけは残るのです。もし、中小企業の社長さん達が正しい財務会計の知識をもっていれば、悲惨な状態を少しは防げたかもしれません。

このように会計の知識はビジネスを行なう上で極めて大切です。しかし、会計を理解するためには簿記を勉強しなければならないとか、会計と言えば借方・貸方や減価償却費などという聞き慣れない言葉が出てきて難しいと思っている人も多いと思います。

実は私は元々エンジニアで、会計を理解するのにかなりの時間がかかりました。しかし、いま思えば、会計の理解に時間がかかったのは素人に分かりやすい勉強法がなかったからだけなのです。これから2回のコラムで、会計の全体像と会計を勉強する時の勘所を分かり易く説明したいと思います。

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講師Profile

國貞 克則 氏

有限会社 ボナ・ヴィータ コーポレーション 代表取締役社長
1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、企画部、海外事業部を経て、1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立。中小企業の経営支援や大手企業の管理職教育が得意分野。著書に「財務3表一体理解法」(朝日新書)、「『財務3表のつながり』で見えてくる会計の勘所」(ダイヤモンド社)がある。

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