Column会計学習の勘所
第1回のコラムで会計の重要性を認識いただけたことと思います。今回は会計の全体像を説明しようと思います。
何かを勉強する場合、勉強法は大きく分けて二つあります。一つは、細部を一つひとつ積上げて最後に全体像を理解する方法です。もう一つは、先ず全体像をざっくりつかんでから、必要なだけ細部を勉強していくという方法です。
いままで、会計を本質的に理解しようと思えば、簿記や仕訳(しわけ)の勉強が必要だと言われてきました。これはある意味もっともなことです。特にこれから経理部門などで働き会計の専門家になろうと思っている人は、財務諸表といわれる会計の書類を作成しなければなりませんから、その基本的なルールである簿記や仕訳の勉強は不可欠です。この簿記や仕訳の勉強をして会計を理解する勉強法がまさしく細部を一つひとつ積上げて全体像を理解する方法です。
多くの人は会計の専門家になる必要はありません。つまり、財務諸表を作る必要はなく、ただそれが読めればいいのです。そういう人には、先ずはざっくりと会計の全体像を理解する勉強法が適しています。
今回は基本財務3表といわれる、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CS)を説明します。そもそもこの基本財務3表は何のために作るのでしょうか?その第一番の目的は、会社の状況を社外の人(投資家やお金を貸している銀行など)に正しく説明するためです。では、社外の人は会社の何を知りたいと思っているのでしょうか?それを理解するためには、そもそも会社は何をしている所なのかを理解することから始めたほうがよさそうです。
いま日本に600万社の会社があると言われていますが、これら600万社の会社が行なっている基本活動は、規模や業種の違いを超えてすべて同じなのです。それは「お金を集める」、その集めたお金を「何かに投資する」、そして「利益を上げる」という3つの活動なのです。
一般のビジネスパーソンは「お金を集める」という所に通常携わりませんのでピンとこないかもしれませんが、事業を始めようとすれば必ず先ずお金を調達しなければなりません。その集めたお金を製造業であれば工場に投資して、その工場が生産する製品を販売して利益を上げる。商社であれば、販売する商材に投資して、その商材を販売して利益を上げているのです。
この3つの基本活動をPL、BS、CSを用いて説明しているのです。図を見ながらせつめいしましょう。BSは右と左に分かれているのですが、BSの右側が「どうやってお金を集めてきたか」を表し、BSの左側が「その集めてきたお金を何に投資しているか」を表しています。そしてPLでどれだけ利益を出しているかを計算しているのです。
CSというのは会社の家計簿です。つまり会社の収支計算書なのです。私たちが一般に見る収支計算書は、「収入」「支出」「残高」の3つの欄に分かれていますが、会社が使う収支計算書であるCSは少し違った構造をしています。このCSも3つの欄に分かれているのですが、それは上から「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに分かれています。
なぜこのような分かれ方をしているかというと、これがまさに会社の3つの基本活動を表しているのです。「お金を集める」が「財務活動によるキャッシュフロー」、「何かに投資する」が「投資活動によるキャッシュフロー」、そして「利益を上げる」が「営業活動によるキャッシュフロー」をそれぞれ表しているのです。
そんなに難しい話しではありませんね。すべての会社に共通する基本活動は、「お金を集める」「何かに投資する」「利益を上げる」という3つの活動であり、その3つの基本活動をPL、BS、CSを使って表しているだけなのです。
次の第3回目のコラムでは、このPL、BS、CSの仕組みを、簿記や仕訳の勉強をせずに簡単に理解するユニークな勉強法をご紹介しましょう。
新人・若手向けに必要なビジネス知識

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國貞 克則 氏
有限会社 ボナ・ヴィータ コーポレーション 代表取締役社長
1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、企画部、海外事業部を経て、1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立。中小企業の経営支援や大手企業の管理職教育が得意分野。著書に「財務3表一体理解法」(朝日新書)、「『財務3表のつながり』で見えてくる会計の勘所」(ダイヤモンド社)がある。- ■最新著書のご紹介




