Column会計学習の勘所
第2回のコラムで会計の全体像がご理解いただけたことと思います。では、前回学んだPL、BS、CSを具体的にどのように学んでいけばよいのでしょうか。
前回もご説明しましたように、会計の本質を理解しようと思えば、先ず簿記・仕訳を勉強しなさいと言われます。これはある意味もっともなことです。なぜ、もっともなことなのかを図を見ながら説明しましょう。
事業活動を行えば、どの会社も請求書や領収書などの伝票が上がってきます。この伝票を経理部門の方が複式簿記という特殊な方法を使って帳簿に記帳してくれます。簿記とは「帳簿に記帳」するという意味ですが、複式簿記という特殊な方法で帳簿に記帳するルールを仕訳といいます。この仕訳のルールに従ってすべての伝票が帳簿に記帳されたものを試算表といいます。この試算表が集大成されてPLやBSになっていくのです。
会計の入門書は、PL、BS、CSの表の構造の説明をしただけで財務分析指標の説明に移っていきますが、いくら表の構造を勉強しても、この表がつくられる仕組みである簿記・仕訳のルールが分かっていないと、どこまでいっても会計の本質は分かってこないのです。ですから、会計を本質的に理解しようと思えば簿記・仕訳の勉強をすべきだというのはもっともなことなのです。
しかし、この簿記・仕訳のルールを覚えこむのは大変な労力が必要です。簿記3級の試験に合格するのには3ヶ月くらい、簿記2級の試験に合格するには半年くらいの勉強が必要だと言われています。
今回、ご紹介する勉強法は、この簿記・仕訳のルールを勉強せずに、会計の本質を理解する方法です。何かペテンのような話しに聞こえるかもしれませんが、図を見ながらその方法を説明しましょう。従来の【伝票】→【簿記・仕訳】→【財務3表】という順番の作業の中の【簿記・仕訳】をすっとばして、直接日々の事業活動が財務3表の上にどう展開されていくかを学ぶ勉強法です。
具体的にいうと、例えば資本金1,000万円で会社を設立するという行為があった場合、PL・BS・CSのどこにどのようにその1,000万円という数字が記載されていくのか、また売上が500万円あった場合、その500万円という数字がPL・BS・CSのどこにどのように入っていくのかを勉強するのです。そうすると、日々の事業活動がどのように財務3表に展開されていくかが分かりますから、逆に今度は財務3表をみれば日々の事業活動の様子、つまり会社の状況が分かっていくというものです。
この勉強法の種明かしをすれば、実は仕訳の作業を直接PL・BS・CS上で行なっているのです。ですから、このような作業を20問ほどドリル形式で行なうと、簿記・仕訳の基本的な考え方も体で分かってくるのです。
そして、もう一つ大切なポイントは、PL・BS・CSという財務3表が互いにつながっているということなのです。例えば、200万円の商品を現金で仕入、400万円で販売した場合の数字の動きを、図を見ながら説明しましょう。話を簡単にするため、その他の数字は何も入ってないことにします。PLの売上高と売上原価にそれぞれ400と200が入り、売上総利益以下のすべての利益が200になっています。この一番下の当期純利益の200がBSの繰越利益準備金とつながっています。次にBSの左側を見てみましょう。現金は売上として400入ってきて、200が仕入として出ていきましたから、BSの左側の現金の欄が200になっています。これでBSの右側の合計と左側の合計が一致していますね。これは会社が200万円を集めてきて(BSの右側)、その集めてきたお金がいま現金の形で会社に存在する(BSの左側)ということを表しているのです。
CSは売上収入が400あり、仕入支出が-200ありますから、この時点での現金の残高は200です。会社が持っている現金がこの時点で200万円ということですから、これはBSの中の会社の現金の欄の200と一致します。
このように財務3表は互いにつながっているのです。このつながりを認識しながら、例題を20問もやれば、簿記の勉強をしなくても、だいたい会計の本質は分かってきます。勉強してみたくなった人は「決算書がスラスラわかる財務3表一体理解法」(朝日新書)、「超図解『財務3表のつながり』で見えてくる会計の勘所」(ダイヤモンド社)、「書いてマスター!決算書ドリル」(日本経済新聞出版社)のいずれかを参考にしてください。
新人・若手向けに必要なビジネス知識

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國貞 克則 氏
有限会社 ボナ・ヴィータ コーポレーション 代表取締役社長
1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、企画部、海外事業部を経て、1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立。中小企業の経営支援や大手企業の管理職教育が得意分野。著書に「財務3表一体理解法」(朝日新書)、「『財務3表のつながり』で見えてくる会計の勘所」(ダイヤモンド社)がある。- ■最新著書のご紹介




