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人材育成IT化計画 - Seminar Information

人材育成IT化計画

第3回

eラーニングをより良くするために

2007.09.26 Update

株式会社レビックグローバル

代表取締役社長 川口泰司

 「eラーニング」の評判が必ずしも良くない。思うに数年前に到来した第一次eラーニングブームの際に、利用された教材や活用のあり方があまりに原始的であったため、その効果にいまだに疑念をもたれている方が案外多いからであろう。

 このため、企業内教育におけるeラーニングの活用はまだまだ消極的である。それでも少しずつeラーニングを活用しようという動きが出てきており、なかでも最も多いパターンは、コンプライアンスなどの全社一斉教育への適用である。コンプライアンスは企業として一斉教育が必要な項目であり、しかも教育を施した記録を残す必要もあり、この領域にeラーニングを活用するのはコスト効率の面から言っても非常にわかりやすい。しかし、受講者たちの意見を聞くと、どうやらかなり形式的に行われているのが実情であり、教育効果の点においても疑問が残る。

 また、eラーニングの問題として教育担当者からよく聞くのは「修了率問題」である。つまり、eラーニングを導入しても「受講者が真剣に学習に取り組まず、修了率が低い点が問題である」、という話である。しかしここには少し本末転倒なところがあって、スキルや知識が本当に身につくかどうかという教育効果を問題にするのではなく、修了することそれ自体が目的化しているように見受けられ、しかもこうしたケースは案外多い。これはある意味、教育の効果測定手法が確立されていないがために、会社への報告義務がある教育担当者としては止むを得ない次善の策なのかもしれない。

 ちょうど集合教育の効果測定が難しいため、「実施した」という事実のみの報告が、結果として形式的に行われているのと同じ現象である。しかしこのことに便乗して、ひどい場合には数回クリックしただけで講座が終わってしまうようなeラーニング教材を作って「修了率100%」を唄うケースなどもあり、やはりeラーニングにおいては修了率だけを指標とすることには抵抗がある。また、修了率を高めるためにチューターを置く、ということも行われているが、これもやはり修了が目的化している事象のひとつである。本質的なことを言えば、仮に修了率が80%であっても、受講者にはそれなりにスキルが定着し、最終的には業績への効果が上がるほうが重要だと思う。

 さて、ここからは持論であるが、eラーニングというとどうしてもパソコンの中で完結させるイメージがあるのだが(これは米国流インストラクショナルデザインの弊害か?)、パソコンだけでなく他のツールも併用して、ツールごとに役割を分担させるのも教育のメソドロジーとして面白いと思う。

 例えばであるが、パソコンは講座の幹となるレクチャと章末テスト、修了テストなどの測定部分を担当。(ここでいうレクチャは、映像やアニメーション、音声を駆使したものであって、そうでなければパソコンを使う意味がない。)そしてこれとは別に手元用のテキストとノート(練習帳形式のワークシートなど)を用意。レクチャだけでは補いきれなかった付帯情報や用語集を活字情報で提供すると共に、ノートには実際に手で記述してもらう。すなわち「書かせる」のである。

 実はこの「書く」という行為は学習にとって非常に重要である。何故なら「書く」という行為には「理解して考える」という準備が必ず伴うからである。これがパソコンを使う学習だからといってキーボードとマウスで完結してしまうように教材を作ってしまうと、驚くほど知識の歩留まりが悪い。この欠点はいかんともし難く、実を言うと日本人にはこの方式は向いていないのではないかと思う。

 元々、eラーニングは欧米からの伝来であるが、彼らはそもそもキーボード文化を持っている。また、シングルバイトの言語はコンピュータ処理に向いていることもあり、パソコンで完結する仕組みも作りやすい。(例えば電子メールの内容を理解する人工知能=AIですら、ある程度実用化されている。)従って、現在のeラーニングシステムは欧米人にこそ適しているといえるのだが、日本人が本格的に教育効果まで視野に入れて活用するには、前述したようなツールの併用といった工夫が必要なのではないかと思う次第である。

 また、テキストやノート類などのツールは後々まで形として残るものであり、自己が学習した履歴(「闘いの跡」と言ってもいい)を振り返ることもできるし、復習するのにも便利である。ちなみにeラーニングの場合は講座ごとに受講期間が定められており、一般的には受講期間が過ぎると教材へのアクセスができなくなるため復習ができない、など受講者の不満は意外に大きい。

 さらに言えば、教育管理者からすると受講者が記入したノートを回収してパラパラとめくるだけで、受講者がどれだけ真剣に取り組んだかが一目瞭然にわかるため、修了したかどうかなどよりも教育効果そのものを実感できるはずである。

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Profile

川口泰司 |株式会社レビックグローバル 代表取締役社長

大手化学会社、コンパック、アップルコンピュータを経て、1997年フロムビッツを設立。インターネットマーケティングに関するコンサルティングを中心に活動。1999年に1999Webデザインアワード(Webデザインコンソーシアム主催)にて、審査員特別賞受賞。2001年デイツーイーツー株式会社代表取締役社長、2003年株式会社レビック代表取締役社長を歴任し、2005年株式会社レビックグローバル代表取締役社長に就任。「人づくり」に貢献する教材コンテンツとプラットホームの開発に情熱を燃やしている。

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